冬 -Domestic Violence-
「大丈夫?」
「・・・はい・・・・。」
「あ~ビビった・・。」
「え・・・。」
「・・あ!ごめん。絡まれてると思ったから・・ついああいう言い方を・・・
ご、ごめん引いた・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・嬉しかった・・です・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
「イルカどころじゃなくなったかも。」
「・・・・え・・あちょっと・・
中野さん・・!?」
薄暗い会場の中、
続々と集まるカップルの中を・・
その流れに反して私達は逆走した。
はぐれないように。人混みを縫うように。
少し小走りになって前を行く中野さんの右手に・・私の左手が繋がっていた。