間宮さんのニセ花嫁【完】
頭を下げた彼に慌てて首を横に振る。しかし彼の真剣な思いは嫌という程真っ直ぐに伝わってきた。
「もし君が何かに悩んでいたり苦しむことがあったとしたら、俺が必ず力を貸すから。だから来年もよろしく頼む」
「……はい」
その言葉は、あと少しで訪れる別れの後でも私たちの繋がりは消えないと、そういう意味に捉えていいんだろうか。期待してはいけないと思いながらも、私はその小さな望みに密かに心を寄せていた。
「こちらこそよろしくお願いします」
彼に笑いかけると間宮さんは安心したように柔らかく微笑んだ。その笑顔は私がずっと見たかったものと相違なく、また一つ彼の好きなところを見つけられたような気がした。
家中をガタガタと打ち付けるような音で目が醒める。目の前に見えた天井は私の部屋のものではなく、目を擦りながら体を起き上がるとどうやら居間で眠り込んでしまっていたらしい。
電気もテレビもつけっ放しなのを見て状況を確認するために辺りを見渡す。
確か新年を迎えた後、百瀬くんから「今から実家に向かう」という連絡があった。ここに来るということは誰かが出迎えなければいけないため、私が起きていると言ったのだが彼も部屋に戻って休むようにとの一点張り。
仕方がないので二人で百瀬くんが帰ってくるのを待つことにしたのだが、どうやら私は気が付いたら眠っていたようだ。
すると自分の体に毛布が掛けられていることに気が付き、自然とそれを掛けてくれたであろう人物を探した。