間宮さんのニセ花嫁【完】
「っ……」
手に何かが当たったと思い下を見ると丁度私の隣に間宮さんが横になって眠っていた。私に毛布をかけた後、どうやら彼も釣られるように眠ってしまっていたらしい。
初めて見る彼の寝顔をジッと凝視する。心地好さそうな寝顔に気が抜けているのが見て分かった。確か旅行の日は朝起きたら彼ももう既に起きていて、寝顔を見るタイミングなんかなかったんだよね。
永遠に眺めてられる、と彼の顔を見つめていると突然窓から差し込んだ光と共に雷が落ちたような大きな音が響く。相当外は荒れているのか、雨風が窓を揺らす度に家まで揺れているような錯覚に陥る。
私は自分に掛けられていた毛布を間宮さんに掛けようと動くが、手が彼の方に触れた瞬間にその瞼がゆっくりと開かれる。
「ん……悪い、寝てたか」
「すみません、起こしてしまって」
すると同時にまた近くで雷が落ちる音がする。桜さんたち今日帰ってこなくて正解かもしれない。
折角の年明けなのにこんなに雷雨で少し残念な気もするが、戸締りはしっかりとしたので大丈夫だろう。
「二時か、そろそろ百瀬も帰ってくるだろ。飛鳥はそろそろ部屋に戻って休んだ方がいい」
「……そうですね」
寝落ちてしまった故にここに残ると言っても説得力がない。私は彼の言葉に甘えて自室へ戻ることにした。
部屋に向かう廊下の窓にも雨風が強く打ち付けていた。間宮さんを一人にしてしまったけれど大丈夫だろうか。もし何かあった時に力を貸せれたらいいけど。