間宮さんのニセ花嫁【完】
怖かった、きっと一人だったら何も出来なかった。間宮さんがいてくれて本当に良かった。
暫くして冷静さを取り戻し、暗闇に目も慣れてきたところで廊下の先を見つめる。
「ブレーカーが落ちているのかも。私もう大丈夫なので見に行ってきます」
「駄目に決まってるだろ。こんな状況で一人になる方が危ない」
「でも……」
この状況を打破するにはそれしかない。間宮さんもそれを分かっているのか、暫く悩んだ挙句に二人で確認しにいく選択をした。
ゆっくりと足元を確認しながら廊下を進み、ブレーカーのある玄関へと向かう。
「この置物の奥の方だ、扉が閉まらないように見ていてくれるか?」
「はい!」
間宮さんが物置に入っていくのを見守っていると玄関の方で何やら物音がする。
ダンダンッと鈍い音で扉を叩くような音。いくら雨や風が激しくてもここまで大きな音にはならないはず。
もしかして、
「百瀬くんが帰ってきたのかもしれません! ちょっと見てきます!」
「っ、待て!」
こんな激しい嵐の中、ずっと外にいる方が危ない。私は扉が閉まらないのを確認した後、玄関の方へと足を進めた。
するとそれを慌てて追いかけてきた間宮さんが引き留める。