間宮さんのニセ花嫁【完】
やはり戻ろうかと足を止めたその時、窓から差し込んだ光と共に鳴り響いた怒号に声を上げ、次の瞬間には辺りは暗闇に包まれていた。
「……え?」
反応遅れで周りを見渡すが真っ暗で何も見えない。上を向くとどうやら天井の電気が切れているようだった。
もしかして今の雷で停電したんじゃ……
「きゃああ!」
再び凄まじい音で落ちた雷に思わず悲鳴を上げる。明るいところで落ちるのとは桁外れの恐怖に身が震えた。
どうしよう、このままじゃ部屋にも辿り着くことができない。得体の知れない何かが近付いてくるような恐怖に私は一人廊下に座り込んだ。
「飛鳥!」
今まで聞いた中で一番大きな声と共に私のところへ駆け付けた間宮さんは「大丈夫か?」とへたっていた私の身体を支える。
彼の姿を見て漸く落ち着きを取り戻した私は心の底からホッと胸を撫で下ろした。
「さっきの雷でどうやら停電してしまったらしい。怪我はないか?」
「はい、」
大丈夫です、と伝えるが自分でも分かるほどに声が震えていた。すると彼は私の肩に腕を回し、そしてゆっくりと背中を優しく撫でてくれた。
「もう大丈夫だ、俺が付いてるから」
「っ……はい」