間宮さんのニセ花嫁【完】



「ここでホワイトチョコを湯煎で溶かす、と」


レシピ本を何度も読み込み、早速チョコレート作りにチャレンジしてみる。
が、しかしレシピ通り湯煎にかけているつもりなのだがチョコは溶けるどころかどんどんと硬くなり、団子状態になった。


「えぇ、なんでー」

「どうしたの?」


同じ台所で料理をしていた桜さんが私の手元を覗き、「あらあら」と声を漏らす。


「きっと湯煎の温度が高かったのね」

「え、でもレシピ通り60度ですよ?」

「ホワイトチョコは普通にチョコレートよりももう少し低い温度で湯煎にかけないと駄目なのよ」

「そ、そうなんだ……」


チョコレート、なんて奥が深い世界なんだ。バレンタインデーまであと2週間だが当日までにちゃんと思ったものが作れるか心配になってきた。
アドバイザーとして桜さんに監修してもらうことにしたけどチョコレートをあげる人のお母さんにお願いするのって実際どうなんだろう。だけど私が知ってる中で一番料理が上手いのは桜さんなわけで。

桜さんの元で色んな料理を教わって少しは料理上手になれたはずだが、お菓子作りに求められる繊細さがどうやら私にはないらしい。
というかよくよく考えてみれば聡の時は市販のチョコで済ませていたし、手作りチョコを作るなんて学生ぶりなのでは?


「ふふ、きっと千景喜ぶわ。こんなにも飛鳥さんが一生懸命に作ってるんだもの」

「ははは、そうだといいですけど。千景さんだと学生時代とかも大変そうですよね、チョコのもらいすぎで」


実際に会社にいたときも毎年沢山貰っていたな。本人に直接渡せずにうちの課まで来る人もいたし。



< 286 / 309 >

この作品をシェア

pagetop