間宮さんのニセ花嫁【完】
「寝るところだったか?」
「少し本を読んでいただけですよ」
「今日は練習しないんだな」
「はい、今日はお休みです」
一日の終わりにこうして間宮さんと話せるなんて嬉しいな。
そんな気持ちが前面に出てしまっているのか、彼もそんな私のことを微笑ましく見つめていた。
「そういえば金曜日なんだが、もし良ければ夜会社まで迎えに行くから何処かご飯を食べて帰らないか?」
「え!?」
「折角のバレンタインデーなんだし、飛鳥さえ平気なら」
どうかな?と突然のデートのお誘いに一瞬呆気に取られたが「行きたいです!」とすぐさま返事をした。
チョコレートは前日の夜に作る予定だし、当日の夜自体は空いていた。
嬉しいです、と返せば彼も安心したように「よかった」と、
「少し浮かれ過ぎかなって思ったんだけど」
「っ……浮かれてるんですか?」
「多分な。去年までとは違うから」
バレンタインデーに浮かれてる間宮さん、可愛い。それも私のことが好きだからなんだって思うと、どこにぶつけていいか分からない感情がひたすらに込み上げてくる。
この人が私の恋人なんだって、全世界に言いたいぐらい。
「じゃあチョコは家に帰ってからってことになりますね」
「そうだな、家に帰ってからも楽しみがあるなんて嬉しいことだ」