間宮さんのニセ花嫁【完】
「わ、ぁ!」
廊下に面した庭が雪で真っ白になっていた。そういえば夜に気温が氷点下まで下がるってニュースで言っていたっけ。
間宮家の整えられた庭は雪が積もったことで幻想的な雰囲気へ変わっていた。
思わずその銀世界に見惚れていると着ていた半纏のポケットにしまっていたスマホが震える。
確認すると画面には間宮さんの名前が映し出されていた。
「もしもし!」
《おはよう、起きてた?》
「千景さん! 雪が!」
《あぁ、やっぱりそっちもか》
こっちも凄いよ、と笑う彼にこの景色を二人で見れたらどんなに嬉しかっただろうと想像した。
彼と一緒になって雪が積もるのは今日が初めてだ。
《予定通り用事が終わったら帰るから。駅で待ち合わせでいいか?》
「は、はい」
《うん、飛鳥の声を聞いたら今日も頑張れそうだな》
「っ……」
それはこっちの台詞なのだけど。電話越しに聞こえる彼の甘い声に酔い痴れると今晩のことが更に楽しみになった。
うちの課では毎年女子社員からまとめてバレンタインデーのチョコを送るのが恒例となっていた。
「わー、今年も義理チョコだ」
「本命もらったらそれはそれで困るでしょ」