間宮さんのニセ花嫁【完】
すると間宮さんが少し言い淀んだ空気に「あ、」と話の内容を察した。
《悪い、今駅で足止め食らってて。どうやら吹雪で新幹線が延滞しているようだ》
「吹雪!?」
《あぁ、今日中に帰れるか分からないし、帰れても深夜くらいになるだろうから悪いけど今日の約束はまた別の日にしてほしい》
きっとそれは間宮さんだけではなく私の身も案じてのことなのだろう。
彼がそう決めたのであればそれに逆らう理由もない。私は残念に思う心を胸に抑え込み、「はい」と返事をした。
「じゃあ私間宮さんが帰ってくるまで今日は起きてますね」
《いや、深夜になるかもしれないから先に寝てていいよ》
「これくらい、させてください」
《……あぁ、分かった。ありがとう。それから……》
本当にごめん。
間宮さんが謝ることじゃない。それよりも吹雪の方が心配である。
間宮さんが危険な目に遭うのなら、無理して来て欲しくないと思うのも本心だった。
レストランには俺から連絡しておくと言ってくれた彼に甘えてお任せすると通話を切り、気持ちを切り替えるために両手で頬を軽く叩いた。
結局、バレンタインデーのはずなのに何処にも寄ることなく真っ直ぐに家に帰って来てしまった私は普段通り、間宮さんちで百瀬くんが出ているドラマを見ながら夕御飯を食べていた。
と、
「あ、千景さんから『新幹線に乗った』って連絡来ました!」
「そう、よかった」