間宮さんのニセ花嫁【完】
一週間前、大学から付き合っていた彼氏の浮気が発覚した。その彼氏とは今年の秋に結婚する予定だったのだ。
まさかこの時期に浮気されるとは思っていなかった。そして浮気されるだけならまだしも、
「元カレがストーカー化するという昼ドラ展開。これは面白……じゃなくて、酷いことになってきたね」
「今面白いって言いかけませんでした、弥生さん」
鳴り止まない電話、並んだ着信相手は同じ名前。一方通行に何通も送られてくるメッセージは「一度会って話したい」という内容のものばかり。
何故か私は浮気された側だというのに別れたはずの元カレからストーカー行為に近い面会の強要を受けていた。
私の夢をあと少しというところで壊したくせに、何て酷い男だ。
しかもこの歳で男と別れるって、もう正直この先いい恋愛ができる気がしない。
会社の人たちが続々と座敷を後にしていく。流石に焦ってきたのか、柳下くんが私の肩を揺すった。
「佐々本さん、本当にそろそろ店出ないと駄目ですって」
「んん〜」
「ヤケになって飲みすぎるから」
頭から身体に信号は出しているはずなのに全く動けずにいると閉まっていた後ろの扉が開く音がした。