間宮さんのニセ花嫁【完】
時計の針が日を跨ごうとしていた直前、
【駅まで帰って来られたけどタクシーも混んでるし家の人を起こすのも悪いから今日は駅周りのホテルに泊まる】
届いたそのメッセージを見た瞬間、私は居間を飛び出していた。
家の前で捕まえたタクシーを降り、彼が本日泊まると連絡をくれたホテルのエントランスで向かうとその入り口で分厚いコートを着て険しい表情をして立っている間宮さんの姿を見つけた。
「ま、間宮さ……」
「馬鹿! こんな時間に何やってるんだ!」
「っ……」
慌てて駆け寄ったが珍しく声を上げて怒鳴った彼に吃驚して足を止める。
彼ははぁと頭を抱えると「心配した」と呟いた。
「いきなりホテルに来るって言うし、それから連絡もつかない。どう考えてこんな遅くに外に出るのは危ないだろう。雪も降ってるのに」
「……ごめんなさい、だけど私もう子供じゃないですし」
「子供じゃない、けど君は俺の大事な恋人だし、奥さんだろ」
「っ……」
恋人で、奥さん。怒られているのにその言葉に心をときめかせてしまっている自分がいた。
間宮さんは私の手を引いてホテルに入るとエレベーターホールへと向かう。
「あの、ごめんなさい。でもどうしても今日、会いたくて」
「……」