間宮さんのニセ花嫁【完】
「その、これ渡したら帰る予定で」
しかし手を離してくれない間宮さんに連れられてエレベーターに乗せられた私は気まずさを感じつつも彼が今日泊まる予定の部屋の前まで来てしまった。
間宮さん、仕事でもあんなに声を荒げて怒ることはなかったのに。温厚な彼をそんなに怒らせてしまったんだと思うと自分の行動を反省した。
「あの……」
カードキーで鍵を開けたからはドアノブに手をかけてゆっくりと部屋の扉を開く。
すると、
「え、……」
手を引っ張られ、部屋の中に足を踏み入れると私は彼の腕の中にいた。
「心配した」
「っ……ごめんなさ」
「うん、けど俺も大人気なかったな」
彼の大きく温かい手が頭を撫でると思わず涙が込み上げそうになったが大人だからと頑張って堪えた。
「だけど自分のことをもっと大事にしてくれ。本当に、何もなくてよかった」
「……ふふ、」
「? どうかしたか?」
「いえ……」
だって、何だかそれって……