間宮さんのニセ花嫁【完】
お返しなんて、これから先も間宮さんと一緒にいられたらそれだけで。
飛鳥も食べてと促され、私も自分の分を切り分けるとケーキを口へと運んだ。チョコレートの甘さの中に抹茶のほろ苦さが広がり、自画自賛ではあるがお店で出しても遜色のない出来だと言える。
良かった、こうして間宮さんと二人でチョコを食べられて。この時間に一緒にいられて本当によかった。
「……千景さん、去年のバレンタインデーのこと覚えてますか?」
「うん、覚えてるよ」
「あの時私、どうしたら千景さんが幸せになれるかばかり考えてたんです。凄く凄く考えた上で、あの結論でした」
彼の幸せのためには楓さんとヨリを戻させるのが一番だと思った。その時はそうだとばかり考えていた。
だけど彼と離れて一人になったとき、私が出した答えは私が一番後悔することになる答えだった。
だから、間宮さんが私を迎えにきてくれたとき、その手を取ってしまった。
「私、この一年で少しでも千景さんを幸せに出来ましたか?」
私の選択が正しかったのか、それとも間違っていたのか。
それを知っているのは目の前の彼だけだ。
「飛鳥は見てて分からないか?」
「……」
彼は手を伸ばすとそっと私の頰を撫でた。
「俺みたいなやつ、幸せになんかなる資格ないってずっと思ってた。だけど本当は心のどこかでそうじゃないって思いたかったのかもしれない」