間宮さんのニセ花嫁【完】
「今の俺がいるのは君のお陰だ。君が、俺のことを大事にしてくれたから」
窓の外の夜景をバックにした彼はこの世のものとは思えない程綺麗だった。
それと同時に宝物のように何処かで締まっておきたくなるほどに惹かれている。
「改めて、俺のことを好きになってくれてありがとう。今凄く幸せだ」
「っ……」
間宮さんが笑うだけで私の世界はこんなにも綺麗に鮮やかに見えるんだ。
好きで埋まった気持ちを全部伝えたいな。この先もずっと、私はこの人に魅了されていく。
おじいちゃんとおばあちゃんになっても、ずっと隣にいて欲しい、ずっと隣にいたい人。
「……あ」
彼の手がバスローブに掛かったとき、思い出したように声を漏らすと彼は「どうかしたか?」と律儀に手を止めてくれた。
「いえ、あの……せ、折角だからと今日のために新しい下着を買っていたんですが……」
「……」
「付けてくるの忘れちゃいました……」
完全に頭から抜けていた。間宮さんとの約束も無くなり、安心しきっていた私は普段通りの寝る用の下着を身に付けて、そして寝巻き姿にコートを羽織った姿で家を飛び出してきていた。
全く何も準備していなかったことを酷く後悔する。こんな素敵な夜なのに、何故ここで失敗してしまうんだ!
「はは、そんなこと気にしてたのか」
「そ、そりゃ、千景さんがあんなこと言うから!」
「そんなことで俺がやめると思ってる?」