間宮さんのニセ花嫁【完】
「飛鳥ちゃん、千景のことよろしくね。少し難しい性格だけど頼りにはなるから」
「今度正志にも紹介しに行くから、紗枝もおいで」
「ふふ、きっと正志も私以上に喜ぶと思う。いつもリアクション大きいから」
「想像が付くな」
もう一人、「正志さん」という共通の知り合いがいるのかと会話を聞いていると、私が会話に入れていないことを察した紗枝さんが咄嗟に説明を加える。
「正志っていうのは私たちのもう一人の幼馴染なの。三人とも高校まで学校が一緒だったのよ」
「そうなんですね! 今もみんな仲良しって凄いです!」
「俺と紗枝は家同士の繋がりがあるからだが、紗枝と正志は恋人同士でもうすぐ結婚するんだよ」
「え!?」
間宮さんの言葉に反応すると彼女が照れたように顔を赤く染める。
「お、おめでとうございます!」
「……ありがとう」
思わずお祝いの言葉を口にしたが紗枝さんは困ったように笑うだけだった。様子の可笑しさに首を傾げると間宮さんが「大丈夫」と呟く。
「ウチも今は結婚反対されてるけど、認めてもらえるように頑張るからさ」
「そうなの……飛鳥ちゃんも大変なのね」
「(も?)」
何だろう、この違和感。すると紗枝さんは暗い雰囲気を変えるかのように違う話題を提示した。
「そういえば新しい柄の着物が入ってね。若い子向けだからきっと飛鳥ちゃんに似合うわ。よかったら試着していって?」
「え!?」
「うん、それがいいな。俺も少し紗枝の親と話があるからその間暇だろう。紗枝、頼める?」
「勿論」
ささっ、と私は紗枝さんに背中を押されお店の奥へと進む。離れていく間宮さんの表情が少し嬉しそうに見えた。