間宮さんのニセ花嫁【完】



お盆明けの出勤日、普段よりも早い時間に会社に着くと自身の職場である営業部へと向かう。
私が働く職場はソフトウェア制作会社であり全体の社員は100人ほど。その殆どが開発などを行うソリューション部、そして残りが経理や人事、営業に回される。

営業部は十数人ほどの少数精鋭の部署であり、会社で開発したアプリやシステムを他の企業などに売り込むのが仕事である。
そんな営業部に勤めることになって四年、すっかりと部署の中でも先輩の立ち位置になってしまった。


「おはようございます」

「おはよー、佐々本さん早いね」

「はい、間宮さんもう来てますか?」

「係長ならさっき自販機に飲み物買いに出ていったよ」


私は自分にデスクに鞄を置き、他の社員さんに間宮さんの居場所を尋ねるとその足で部署を後にした。
ビルの一階と二階を貸し切ってるウチの会社は広いが自動販売機までの距離だったら見つけられそうだ。

取り敢えずなんて言おうか。まずは金曜日のことを謝って、家まで送ってもらったことにお礼言って。
それからあの日のことは全部忘れてくださいって言わないと。


「間宮さーん!」


休憩所にある自動販売機の前に立つ白シャツの男性を見つけると私は声を掛けながら駆け寄った。
こちらを振り返った間宮さんは私に気付くと普段通りの柔らかな笑みを浮かべる。


「佐々本、おはよう」

「おはようございます!」

「休み明けだけど元気そうだな」


間宮さんも、休み明けだけど朝から爽やかだな。いつものことだけど。
仕事も出来てビジュアルもいいから、会社の中でも人気があるのがよく分かる。

って、改めて上司の顔を良さを再確認してる場合じゃなかった!



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