新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~

「栗原さん。そろそろ終わりますよ〜」

 辻本さんの声に目を開ける。
 私も、うたた寝をしていたようだ。

「あ、れ。夢?」

 ぼんやりした顔をする結愛さんが、私をまじまじと見つめている。

「体の調子はどうですか」

「すこぶる調子がいいです」

「そんなにすぐ、よくなるわけないでしょう」

 窘めてから「会計を済ませてきます」とその場から離れた。

 顔色は幾分よくなった彼女とタクシーに乗り、マンションへと帰る。
 よろめきそうな彼女を支える形で、体に腕を回す。

 触れたいという願いが嬉しくない結果で叶うとは、皮肉なものだ。


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