新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
自宅に戻り、寝室に連れて行こうとすると、彼女の足取りが重くなる。
「こればかりは容認できません。ソファで寝ていたから体調を崩したのかもしれない」
「でも……。あのベッドで寝たくありません」
頑なな彼女にため息を漏らす。
「あのベッドで寝たことがあるのは、私と結愛さんだけです」
「……嘘」
「嘘は苦手だと、前に言ったでしょう。ベッドはというよりも、このマンションには私と結愛さん以外、入ったのは引っ越し業者、家具屋に電気屋くらいでしょうか」
目を見開いた彼女が、絶句して頭を左右に振っている。
信じられないと言いたげだ。
「信じられなくとも事実です。ダブルベッドなのは体がこの通り大柄なので、広々寝るためにダブルなだけです」
「では、どうして前にそう言ってくださらなかったのですか」
「それは……」
口ごもる私を、彼女はじっと見据えている。
逃げられないと思い、覚悟を決めて口を開く。