新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~

 父は紹介したい女性の話をまだ続けている。

「栗原結愛さんという方で、歳は省吾より随分と若くはあるがしっかりした娘さんだ。年齢はさほど問題ないだろう」

 栗原結愛、さん。

 何度か名前を反芻し、脳裏に苦々しい昔の思い出とは別の思い出が蘇る。

 あの子だろうか。
 そうか。結婚するような歳になったのだ。

 感慨深い気持ちになり、興味が湧いた。

「分かりました。そこまで言うのならお会いしてみます」

 父は自分で勧めておいて、断られる覚悟だったようだ。

「それはよかった」と、かなり喜んでいるようだった。


< 16 / 229 >

この作品をシェア

pagetop