新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
父は紹介したい女性の話をまだ続けている。
「栗原結愛さんという方で、歳は省吾より随分と若くはあるがしっかりした娘さんだ。年齢はさほど問題ないだろう」
栗原結愛、さん。
何度か名前を反芻し、脳裏に苦々しい昔の思い出とは別の思い出が蘇る。
あの子だろうか。
そうか。結婚するような歳になったのだ。
感慨深い気持ちになり、興味が湧いた。
「分かりました。そこまで言うのならお会いしてみます」
父は自分で勧めておいて、断られる覚悟だったようだ。
「それはよかった」と、かなり喜んでいるようだった。