新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
「母の死から、それまで以上に医師を志そうと強く思いました。母の死因は乳がんで。本当は、外科を選択しようか迷いました。がんは外科の担当ですからね。もっと言えば乳がんは乳腺外科だ」
それでも内科医を選んだ。
私は父のようにはならない、そう思いつつも、どこかで父のような医師になりたいとも、思っていたのだと思う。
「中村先生は、自分を慕っている女性を結婚相手として勧めたら、反発心で中村先生へ向かっている気持ちを自分の方へ向けさせるだろう、とでも思っていたのではないでしょうか」
「は?」
突然、途方もない考えを述べられ、驚きの声を上げる。
「私が、中村先生を慕っていたと、ご本人もご存じでした」
「知っていたと、どうしてそう思うのですか」
「中村先生が仰っていました。母から相談を受けたそうです」
「ハハ。それは一杯食わされましたね。私がそこまでして、父を意識していると思われていたとは。自惚れているな」
「でも、実際、私がお父様をお慕いしてると知って、興味が出たのは事実でしょう?」
「ええ、まあ、そうですけど」