新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~

 彼女はなにかを考えてから、口を開いた。
 言うべきかどうか、迷ったのかもしれない。

「省吾さんはお父様の反発心から、結婚するのなら産業医をしようと思っていた。けれど、医師をする彼女には理解してもらえず、泣く泣くお別れをして。こんなことなら、その場限りでいいと、やけになったのかなって」

 やくもまあ、今までの話を要約して、このような結末を描けるものだ。

 私は不機嫌さを隠そうともせずに、彼女に告げる。

「一番重要な要点を忘れています。私は結愛さんに惹かれた。今も、昔も、です。そして、結愛さんだけは遊びでは済まされないと腹を括った。結愛さんだけです。このマンションに入ったのも、と言いませんでしたか」

「どういう、意味か……」

「ですから、あまり言いたくありませんけれど、結愛さん以外の女性とは、その場限りです。結愛さんには到底無理でしょうけれど、大人の関係というのは存在するのですよ」


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