新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~

「私が話せるようになったのは、省吾さんが「離れたくないな」と言ってくださったから」

「え」

 短い声を出し、省吾さんは肩に預けていた顔を上げた。

「それに、これ以上逃げていちゃダメだって強く思ったからです」

「結愛さん……」

「その後すぐに省吾さんを引き止めたくて、話せなくなればいいのにって、逃げようとしましたけれど」

 自嘲すると、彼は静かに言った。

「私も逃げていてはダメだね」

「ええ。私を、捕まえておいてくださいよ」

「そんなこと言って後悔しない?」

「もちろん」

 胸を張って高らかに言うと、彼は穏やかに微笑んだ。


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