新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~

「では、キスをしても?」

 冗談めかして言う彼に、私は彼の胸元に手を置いて、彼の顔を覗き込むように唇に触れた。

「不意打ちは卑怯ですよ」

 不平を言う彼は私の手を取って、その指先にキスをする。
 その色気にやられてしまいそうだ。

「愛し合いましょう。結愛さん」

 新婚旅行の初夜を思わせる、セリフ運びに私も応える。

「私、誰ともこのような経験がなくて、ですね」

 彼は目を見開いて、それから頷いてみせた。

「そうですか。わかりました」

 私の手を取って、立ち上がらせると寝室の方へいざなっていく。

「先ほどの話の真意は、伝わっていますでしょうか」

 廊下を歩きながら、あの日の再現をする。
 しかし、顛末は同じにはならない予感がしていて、鼓動は速まっていく。


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