新婚蜜愛~一途な外科医とお見合い結婚いたします~
総務部である私は、社内で行われる健康診断のお知らせなどを作成するのも仕事のうちだが、産業医の先生と直接やり取りする機会はない。
ただ社内に向けて、情報発信をするのみだ。
「ほら。噂をすれば……」
珠紀の視線の先を辿ると、なるほど確かにイケメンの呼び名が相応しい男性が人事部の担当者と談笑している。
長身で端正な顔立ちの彼は目立っていて、周りの女性社員を早くも虜にしているようだった。
世間一般的に見たらイケメン医師だろう。
ただの社員食堂も、彼がいるだけで華やぐようだ。
彼が手に取れば変わり映えしない日替わり定食も、どこかの高級料亭のお膳に見えなくもない。
彼の容貌にふさわしい上品な所作は、周りから惚けたため息を漏れさせた。
けれど、私は彼に見惚れたりしない。
私には想いを寄せている男性がいるから。
いや、想いを寄せているなど、おこがましい。
ただの憧れ。
見ているだけの忍ぶ恋で十分だった。