腹黒王子の初恋
『…どうしましたか?大丈夫?』
廊下の隅にうずくまるスーツ姿の男性に声をかけた。
『あの…南館の第一会議室はどこですか?』
男性はうずくまったままか細い声で質問した。
『もしかして入社試験ですか?ちょっと!すごく顔色悪いですよ!』
思わず彼の額に手を当てると驚くほどの熱さ。
『すごい熱じゃないですか!休憩室連れて行きますよ。』
男性社員を呼んで来ようとした所、腕を強く引っ張られた。
『大丈夫です...もう面接始まるので...南館はここで合ってますよね?』
『え?でも…大丈夫じゃないですよね。』
『大丈夫です!僕、絶対ここで働きたいんです。大丈夫です!』
『え…?えっと、第一会議室はここをまっすぐ行って左に曲がったら右手にありますけど…本当に大丈夫?』
『ありがとうございました!』
男性はふらふらと立ち上がり、深く一礼した。
『待って!』
私は胸元から油性ペンを取り出して彼の手を取った。面接官には見えないように手のひらに書いたいびつなニコニコマーク。
『がんばって!一緒に働けるのを楽しみにしてる!』
『…!ありがとうございます!がんばります!』
彼がもう一礼して私に見せたキラキラと光る笑顔。立ち去る後ろ姿と見ながら、逆に私が元気をもらえたみたい。よし!私も仕事がんばろう!きっと彼なら大丈夫!
時は過ぎ4月。
『今日新入社員の子が挨拶に来るって。何でもすっごくイケメンだってよ~』
『ふ~ん』
『なにそれ!まったく、優芽ってばホント男に興味ないんだから…!』
部署内がざわざわし始め女子社員達の騒ぐ声が聞こえる。さて、どんだけきれいなお顔をしているのか見てやろうじゃないのよ。話題の新入社員の方に視線を移すと
『あっ!』
思わず声を上げてしまった。
『4月から営業1課に配属された文月くんだ。』
『文月祐宇です。がんばりますので、よろしくお願いします!』
爽やかな満面な笑顔にみんながつられて笑顔になる。この子こんなにかわいい子だったのね。あの時は全然気がつかなかった。じっと見ていたらにこっと笑ってこっちに来た。
『先輩!僕のこと覚えていますか?先輩のお陰でこの会社に入れました!』
文月くんは私の手を握りぶんぶんと振りながら嬉しそうに話す。本当に子犬みたいでかわいい。私も自然と笑顔に。
『ふふっ。そんな、大げさな。また会えてうれしい。一緒にがんばろうね。』
『…っ!僕、ずっと先輩に会いたかったです。よろしくお願いします。』
顔を真っ赤にした彼がすごくかわいくて頭をなでた。
廊下の隅にうずくまるスーツ姿の男性に声をかけた。
『あの…南館の第一会議室はどこですか?』
男性はうずくまったままか細い声で質問した。
『もしかして入社試験ですか?ちょっと!すごく顔色悪いですよ!』
思わず彼の額に手を当てると驚くほどの熱さ。
『すごい熱じゃないですか!休憩室連れて行きますよ。』
男性社員を呼んで来ようとした所、腕を強く引っ張られた。
『大丈夫です...もう面接始まるので...南館はここで合ってますよね?』
『え?でも…大丈夫じゃないですよね。』
『大丈夫です!僕、絶対ここで働きたいんです。大丈夫です!』
『え…?えっと、第一会議室はここをまっすぐ行って左に曲がったら右手にありますけど…本当に大丈夫?』
『ありがとうございました!』
男性はふらふらと立ち上がり、深く一礼した。
『待って!』
私は胸元から油性ペンを取り出して彼の手を取った。面接官には見えないように手のひらに書いたいびつなニコニコマーク。
『がんばって!一緒に働けるのを楽しみにしてる!』
『…!ありがとうございます!がんばります!』
彼がもう一礼して私に見せたキラキラと光る笑顔。立ち去る後ろ姿と見ながら、逆に私が元気をもらえたみたい。よし!私も仕事がんばろう!きっと彼なら大丈夫!
時は過ぎ4月。
『今日新入社員の子が挨拶に来るって。何でもすっごくイケメンだってよ~』
『ふ~ん』
『なにそれ!まったく、優芽ってばホント男に興味ないんだから…!』
部署内がざわざわし始め女子社員達の騒ぐ声が聞こえる。さて、どんだけきれいなお顔をしているのか見てやろうじゃないのよ。話題の新入社員の方に視線を移すと
『あっ!』
思わず声を上げてしまった。
『4月から営業1課に配属された文月くんだ。』
『文月祐宇です。がんばりますので、よろしくお願いします!』
爽やかな満面な笑顔にみんながつられて笑顔になる。この子こんなにかわいい子だったのね。あの時は全然気がつかなかった。じっと見ていたらにこっと笑ってこっちに来た。
『先輩!僕のこと覚えていますか?先輩のお陰でこの会社に入れました!』
文月くんは私の手を握りぶんぶんと振りながら嬉しそうに話す。本当に子犬みたいでかわいい。私も自然と笑顔に。
『ふふっ。そんな、大げさな。また会えてうれしい。一緒にがんばろうね。』
『…っ!僕、ずっと先輩に会いたかったです。よろしくお願いします。』
顔を真っ赤にした彼がすごくかわいくて頭をなでた。