腹黒王子の初恋
ほー。新入社員ゆうきゅん、いい!
満足げに溜息を吐き、みんなの様子を見るとゆうきゅんがいないことに気づいた。トイレでも行っているのかな。さて、私はそろそろ帰ろうかな。いつも会社の飲み会はちょっと顔を出して帰る。
幹事の先輩に挨拶してすっと店を出てきた。冷たい風が顔に当たり、顔をしかめた。もう12月も終盤だ。
「…あ」
ふと、帰り道方向に目を向けるとゆうきゅんを発見した。その瞬間体が凍ったように固まった。
横に腕を絡ませる女性。詩織さんだ。二人はくっついたまま少し遠くの路地へと消えて行った。ただならない雰囲気。
心臓がドクン、ドクンと音を立てる。震える足が自然と二人の後を追う。
行くなともう一つの私が警告を鳴らすけど、足が自分勝手に動く。
二人が入って行ったのは店と店の間の小さな道。そこを覗くと衝撃に目を見開いてしまった。
キス。
キスしてる…
詩織さんがゆうきゅんの肩に巻き付いている。
何?
苦しい。
何、これ。
「…ゆ...ゆ...う...きゅ...い...や...」
声にならない呟きが口から洩れる。
その時、うっすらと目を開けたゆうきゅんと目が合った。私と目が合った瞬間ゆうきゅんは目大きく開けて詩織さんを思いっきり突き放した。
「…ゆめちゃん...」
真っ赤な口紅がついた唇でつぶやいた。
その瞬間私は思い切り逃げ出した。
満足げに溜息を吐き、みんなの様子を見るとゆうきゅんがいないことに気づいた。トイレでも行っているのかな。さて、私はそろそろ帰ろうかな。いつも会社の飲み会はちょっと顔を出して帰る。
幹事の先輩に挨拶してすっと店を出てきた。冷たい風が顔に当たり、顔をしかめた。もう12月も終盤だ。
「…あ」
ふと、帰り道方向に目を向けるとゆうきゅんを発見した。その瞬間体が凍ったように固まった。
横に腕を絡ませる女性。詩織さんだ。二人はくっついたまま少し遠くの路地へと消えて行った。ただならない雰囲気。
心臓がドクン、ドクンと音を立てる。震える足が自然と二人の後を追う。
行くなともう一つの私が警告を鳴らすけど、足が自分勝手に動く。
二人が入って行ったのは店と店の間の小さな道。そこを覗くと衝撃に目を見開いてしまった。
キス。
キスしてる…
詩織さんがゆうきゅんの肩に巻き付いている。
何?
苦しい。
何、これ。
「…ゆ...ゆ...う...きゅ...い...や...」
声にならない呟きが口から洩れる。
その時、うっすらと目を開けたゆうきゅんと目が合った。私と目が合った瞬間ゆうきゅんは目大きく開けて詩織さんを思いっきり突き放した。
「…ゆめちゃん...」
真っ赤な口紅がついた唇でつぶやいた。
その瞬間私は思い切り逃げ出した。