晴れた日に降る雨のように
クルクル

くるくる

どうしてこんな色にしたの?

自問自答しつつ私は小さくため息をつくと、手にしていた緑と赤の雨傘をくるりと回してため息をつく。

傘の向こう側にみえる、どんよりとした空をチラリと見上げると、余計にこの鮮やかな傘が場違いな気がしてきた。

今まで気にならなかった事が気になるのは、自分の心の中のせいなのか、この天気のせいなのか。

そんな事を思いながら、たくさんの人が行き来する街をぼんやりとながめていた。

いつの間にか本降りになったこの雨が、容赦なく人々に影を落としていく。

傘がなく顔をしかめながら小走りで走っていく人もいれば、濡れて色を変えていく靴を気にして歩く人。

一つ一つ消えていく雨粒を見ていると、なぜか涙が落ちそうになりグッとこらえた。

梅雨時期なのだから雨は仕方ない。

ついこの間まで夏日だ、最高気温の更新だとニュースで騒いでいたのが嘘のように、ぐっと冷え込んだ気温に、また冬の服を引っ張ってきた人も多いのだろう、色の濃い服を着た人が多く、より街がかすんで暗く感じる。

そんな中、この浮かれた傘だけがやはり場違いだ。



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