晴れた日に降る雨のように
晴れのち曇り
「秋穂」

甘やかに私の耳に響く祐樹の低い声が心地良い。

あの日から、祐樹は私の隣にいる。

「じゃあ、付き合おうか」

その言葉とともに、私の隣に彼がいるようになり、早2カ月がたつ。

始めはあの信じられない返事と、それ以上聞くことができなかった、どうして付き合ってくれたかわからない事に、不安がないと言えば噓になるが、それ以上に祐樹は私に甘い。

ずっと友達というポジションにいたはずだったのに、好きだったのは私だったはずなのに、戸惑っているのは私だけのようで祐樹はいとも簡単に私の領域へと入ってくる。

あの日真っ白になった私の景色を、柔らかなパステルカラーで色づけ、甘くとろりとした蜜か流れ込むように、私の心の中に祐樹の存在が浸透していくような気がした。

もともと、会社も家も近かった私たちにとって、一緒にいると決めればこんなにも同じ時間を過ごすことができる事を改めて知った。
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