晴れた日に降る雨のように
「秋穂」

あきから呼び名を変えた、祐樹の声が当たり前になったころ、私も自然と祐樹の事を信じられるようになっていた。

「おいで」

優しく呼ばれて、ワンルームの私の部屋のソファーの上でくつろぐ祐樹の腕の中へとすっぽりと納まる。

「この映画続き?」

この腕の中が私の居場所だと言わんばかりに私を抱きしめる祐樹の腕の中で、少しだけ体勢を変えるとまたすぐに引き寄せられて、私はクスリと笑い声を漏らした。

「なんだよ?」

「なんでもない」

そんな私に少し不満げな瞳で私を覗き込んだ祐樹に、私はその頬にそっと触れた。

「好き……」

「……知ってる」

微笑んだ私に、祐樹も優しい笑顔を浮かべて私の瞳を見つめてくれる。

この瞬間が永遠に続けばいい。

そう思っていた……。信じていた。
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