ねこねこ幼女の愛情ごはん~異世界でもふもふ達に料理を作ります!~
「エリナ、入るぞ」

「ちょっ、ルディさん!」

 抗議したエリナだが、目の前に現れたのが素晴らしい毛並みのモフモフだったので、彼女はそのまま固まった。

(モフッとしたい! 思いきりモフりたい! ああでも、ルディさんは狼ではなく……)

 彼がイケメン男性だと知ってしまった今は、以前のエリナとは違うのだ。彼を冷静(?)な気持ちでモフることはもうできない。

 しかし、妖精獣フェンリルとなったルディは、その姿にふさわしい泰然とした態度で言った。

「夜は冷えるからな。ひとりで寝て風邪でもひいたら大変だ」

「……でも……」

「体調を崩したら、仕事に差し障りが出るぞ」

「……」

 責任感の強いエリナの弱い所をつくあたり、なかなかの策士である。

 エリナは苦悩した。

 若い男性と一緒に寝るわけにはいかない。
 しかし、風邪をひいて、ミメットに迷惑をかけることも避けたい。今の『青弓亭』は、ミメットとエリナのふたりで回しているのだ。エリナが病欠したら休業するしかない。

 そして、目の前にいるのは、若い男性ではなく巨大な銀のモフッとした生き物だ。

「そら、俺の尻尾にくるまって寝ると暖かいぞ? 掛け布団なんていらないぞ?」

 ふさっ、ふさっ、と、魅力的な尻尾が誘う。

「ふわあ、なんというモッフモフ……」

「どうだ? ふわふわだぞ? 気持ちいいぞ?」

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