ねこねこ幼女の愛情ごはん~異世界でもふもふ達に料理を作ります!~
 朝食をとった隊員たちが出勤すると、3人はカレーライス作りの準備にとりかかった。

「それじゃあ、今日は基本の豚肉のカレーを作りましょうね。難しい料理ではないので、ミメットさんもギギリクさんもすぐに覚えられると思いますよ。その後に、応用の仕方もお話ししますね」

「すぐに覚えられるって、そんな」

 ギギリクは動揺して言った。

「スカイヴェン国では珍しい料理なんだろう? それを、簡単に俺たちに教えていいのか? 貴重なレシピだろうに」

 すると、ミメットがおかしそうに言った。

「兄さん、エリナはいつもオリジナルレシピを快く公開しているんだよ。この前なんて、前王陛下が絶賛したハンバーグのレシピを、事もあろうに王宮の料理人に教え込んできちまったんだから!」

「なんだって? 褒賞まで貰ったという貴重なレシピを? なんて欲のないことを!」

 驚くギギリクに、エリナは不思議そうに首を傾げて言った。

「わたしは、美味しい料理を、みんなで美味しく食べたいって思うんです。それに、レシピが同じでも、料理って作る人の味になるでしょう? だから、みんながそれぞれのハンバーグ作って、楽しめたらいいなって思うんですよ。王宮のハンバーグと『青弓亭』のハンバーグは微妙に味が違うからって、時々ギルおじいちゃんがここまで食べに来ています」

「ぎ、ギルバートさまが? なんてこった!」

「どうだい、この子猫は只者じゃあないだろ?」

 得意そうに言うミメットに、ギギリクは頭を掻きながら「あはは、こいつはもう、参ったなあ、本当に参りました」と笑った。
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