身代わり王女の禁断の恋
翌日の午後、私はその身代わりだったという娘に初めて対面した。

「まあ! 本当にそっくりね。
髪の色が違うだけで、ほとんど同じじゃ
ないの。」

「いえ、畏れ多いことにございます。」

彼女は緊張しているように見えた。

「ごめんなさいね。
クラウスがあなたにとんでもない事をした
みたいで。
クラウスにはちゃんと言っておいたから、
もうあんな酷いことはしないわ。」

「いえ… 」

私は話を続ける。

「それでね、お願いがあるの。
もうしばらく、私の代わりを頼めない
かしら。
私、まだ思うように動けないものだから。」

「はい。私で出来ることでしたら。」

娘の振る舞いは、とても上品で、下級貴族の出だとは聞いていたけれど、きちんとした教育を受けて育ったのだと見て取れた。

「ありがとう。
それから、お父さまにちゃんとお願いして
おいたから。
約束通り、ミュラー家を子爵に上げるって。
ごめんなさいね。
表向きは、宮廷楽師として、コンツェルト
マイスターだったお父上の功績を称えてって
いうことになってるの。
本来はあなたの功績なんだけど、それを表に
出すことはできないから。」
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