身代わり王女の禁断の恋
「いえ、その方が私も嬉しゅうございます。
ありがとうございます。」

頭を下げる彼女は、とても気品溢れる佇まいをしている。

私は彼女がとても気に入った。

「じゃあ、ついでにあと二つお願いをしても
いいかしら?」

「はい。私に出来ることでしたら。」

「じゃあ、一つ目。
私の話し相手になって。」

彼女は目を見開いた。

「私でよろしいんですか?」

「もちろんよ。
私ね、歳の近いお友達がずっと
欲しかったの。
それから、二つ目。
時々、バイオリンを聞かせてちょうだい。」

彼女はハッとしたように顔を上げた。

「あの、でも、王女殿下はバイオリンは
弾かれないのでは…?」

「弾かないわよ。
でも、あなたを隠すのはやめるの。
前コンツェルトマイスターの令嬢を私の
専属楽師として住み込んでもらう事に
したから。」

「はい!」

彼女は嬉しそうに微笑んで答えた。
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