身代わり王女の禁断の恋
「クラウスを子爵にしていただくことは
できないの?」

私はアルフに率直な疑問をぶつけた。

「んー、できなくはないけど、厳しい
だろうな。」

「どうして?
父を子爵にすることはできるのに。」

何が違うの?

「クラウスは男だから。
フルーナと結婚して、政治の実権を握る
ためにフルーナを利用したと
見られかねない。
その点、クリスは女性だから、政治には
関係ない。
しかも、ミュラー家は、クリスが嫁いで
しまえば断絶してしまう。
子爵にしたところで、その地位を悪用する
者はいない。」

「そう…なのね。」

私はようやく理解できた。

「まぁ、クリスが将来、男の子をたくさん
産んでくれたら、そのうちの1人に
ミュラー家を再興させることもできる
けど。
その時は、子爵じゃなくて、大公か公爵だと
思うから、今、ミュラー家を子爵にする
ことに政治的な不利益は生じないんだよ。」
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