※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。


それから私は、続きのメッセージへ食い入るように視線を走らせた。


『俺は元々、人間だった。幼い頃から病気を患い、ずっと入院してた。
そして余命1ヶ月と告知された去年、チャットで君に出会ったんだ。
ひまわりさんは会ったこともない俺のために、たくさんの写真を撮って見たことのない外の景色を見せてくれた。
生まれてからずっと空っぽで感動も喜怒哀楽も知らなかったのに、俺の世界は君の写真を通して一気に広がった。
だけどやりとりをしていく中で、君が自分を好きになれず悩んでいることを知って、どうにかして君を救いたいと思うようになった。
でも余命わずかの俺にできることはなにもなかった。
だから俺はエンプロイドになることを選んだ。』


「どうしてそこまで私なんかのために……」


思わず震える声で呟くと、まるで私の気持ちを見透かしていたかのように、次に続くメッセージが返事をくれる。


『すべてを知ったら、優しい君はきっと自分を責めてしまうかもしれないと思って、ずっと隠してた。ごめんね。
だけど俺はエンプロイドになったことを後悔してないんだ。
100万人に嫌われるよりも、たったひとりの好きな子を笑顔にできない方が、よっぽど不幸だから。』

< 168 / 185 >

この作品をシェア

pagetop