※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。
『こんな体に生まれなければ普通の高校生活を送ってたのかなとか、治療はつらいし早く死んでしまいたいとか思うこともあった。
だけどこの体じゃなければ、あの日ひまわりさんにチャットで出会うことはできなかった。
この心臓がいつ壊れてしまうかも分からないけど、それでもやっぱり最期には幸せだったなって思える気がする。
俺の命は、ひまわりさんに救われた時から、君のものだったんだ。』
……やっと分かった。
ユキが、自分の身をなげうってでも私に愛をくれていた理由が。
きっとユキは知らなかったのだ。愛されることを。
自分のすべてをかけて愛することでしか愛情表現ができなかったのだろう。
いつだってユキの根底にあったのは、命をかけた強い決意だった。
ずっと、ユキのすべてで、こんなにも愛されていた。
私が思っていたよりもっと。
ユキの愛を思い、息もつけなくなる。
ズレていて、優しくて、重くて、時に熱すぎて、いつだって私のことをまるごと包み込んでくれていた愛を。
ユキに好きだってぶつかられるたび、あれだけ大嫌いで憎むことしかできなかった自分のことを、少しずつかもしれないけど好きになれた。
カンカンと警報が鳴り、電車が間もなくホームに入ってくることを知らせる。
『間もなく一番線に電車が参ります。危ないので黄色い線からはみ出さないようにお待ちください』
聞き慣れたアナウンスの後、私が乗り込む電車がやって来た。