※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。


けれどもちろん、そんな私の感情とは裏腹に、クラスメイトの反応は冷ややかなものだった。


舞香が私を切ったことで、あれほど一緒にいたグループのみんなは、私とは目も合わせなくなった。

移動教室も休み時間も、もちろんひとり。


そんな一変した環境の中、時間は何事もないように進んでいって昼休みになり、お弁当の時間がやってきた。


ひとりだけど、私は間違ったことをしたわけじゃない。

だから中学の時のようにトイレでびくびく息を潜めるのではなく、教室でひとりお弁当を食べようとしていると、突然か弱い声が降ってきた。


「花宮さん」


その声に顔をあげれば、大村さんと伊原さんが立っていた。


「どうしたの?」


思いがけない声の主に、お弁当の蓋を開けようとしていた手を止める。

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