※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。





その後の授業は、身に入るわけがなかった。

まるでなにか悪事がばれて、その償いの時を待っているかのような逃げ場のない切迫感に、身も心も押しつぶされそうで。


そうしているうちに授業が終わり放課後を迎えたけれど、帰ろうとする気力が起きず、私は机に座ったままでいた。

今あの空間に帰って、にこにこ笑っていられる余裕があるとは思えない。


クラスメイトは次から次へ教室を出て行き、先日発売されたばかりらしいゲームについて熱く語り合っていた男子ふたりが帰っていくと、いよいよ教室には私ひとりになる。


同じグループのみんなは、私には目もくれず、何事もなかったように帰っていった。


蛍光灯はついているけれど、空が曇っているからか陰鬱なグレーが薄く教室を染め上げている。


この教室だけでなくフロア自体に生徒はもうほとんど残っていないらしく、時計の針の音がやけに主張してくる。


暖房も消えたこの空間は、気づけば体を芯から冷やすほどに温度を失っていた。


男子ふたりが去って行くのと入れ違いになるように、だれかが教室に入ってきた気配。


「はのんちゃん、一緒に帰ろう」


こんなふうに私に馴れ馴れしく話しかけてくるのは、ひとりだけだ。

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