No Way Back
そういう行為自体が久しぶりだったのにも関わらず、何度も求めた。
快楽に溺れた。
どうしてそうなったのかは分からないけど、拒むことをしなかった私は同罪だ。
東條さんだけに罪を擦り付けることは出来ない。
……顔がイイ人は、上手いのかな。
あんなにも溺れさせられるとは思わなかった。
そっと、東條さんの家を出た私は、少し賑やかになってきた駅から電車に乗って帰った。
思い出したせいもあるけど、未だに熱と気だるさを持ったまま、座席に座り背もたれに身体を預ける。
どうして、こういう状況になったのか。
東條さんだって、もちろんお酒に強い。
だから、酔った勢いではないはず。
行為は覚えていても、そこに至った経緯が分からない。
眠ったままの私をどうして……。
こういう時、行為全てを覚えている自分の記憶力が嫌になる。
そこは忘れていたいのに。