君の隣でみる夢
「生まれましたよ」
永遠は産科の医師の言葉で顔を上げる。
そこには生まれたばかりの息子の姿があった。
「柚葉、生まれたよ」
元気な産声を上げる息子から柚葉に視線を移す。

その時柚葉の瞳から一筋の涙が伝った。

柚葉には聞こえている。
そう信じて永遠は話しかける。
「よく頑張ったな。次は柚葉の番だよ。柚葉自身の番だ。」
永遠は息子と柚葉を繋いでいたへその緒を切った。

赤ちゃんはすぐに助産師が処置を始めた。
「元気な男の子です」
処置が終わると永遠の手に息子を渡す。

永遠の瞳からもずっと我慢していた涙が伝った。
「あったかいな・・・。」
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