キンダーガーテン五      ~ここが居場所~
唯をいつもの膝に乗せ

「今日は、何が気になった?」と聞いてくれる。

ホントは、気づいているのに。

たぶん愛里ちゃんのお母さんに、話を聞いてるはずだもん。

あえて聞くのは、唯が納得してないって思うから。



「あのね。
今日、愛里ちゃんのお母さんが唯のところに相談に来たの。
先生のところにも、来たよね?」

「うん、唯ちゃんの後にね。」

やっぱり唯が言いたいことがわかってるみたい。

「お母さんに『愛里が迷惑をかけてないですか?』って聞かれたの。
唯と先生を思って言ってくれたのも分かるし。
幼稚園児の愛里ちゃんの恋が、叶うはずがないことも分かってる。
第一、愛里ちゃんの恋が叶ったら
唯が失恋しちゃうしね。
もちろん分かってるんだけど…………。」

「納得がいってない?」

「う~ん。
前から言ってるんだけど…………。
愛里ちゃんの恋は………
唯と同じような気がするの。
子供だけど、子供の初恋って片付けられないような…………。
それだけで済ませると、大切な何かを見落としてしまいそうな………。」

「唯ちゃんのライバルだもんね。」

茶化してるけど………ホントなんだよ。
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