キンダーガーテン五      ~ここが居場所~
ニッコリ笑う先生は、唯のそんな変化にも気づいてくれるんだよね。

「「いただきます。」」

二人で向かい合い食べるご飯は、何よりも幸せな時間。

唯が憧れ続けた時間。

この時間を確保するために…………

先生は、お酒を止めてお仕事を持ち帰ってくれている。

先生の愛情は………

フンワリ優しく包み込む、お布団みたい。

「うん、美味しい!
やっぱり、唯ちゃんのご飯は最高。」

いつも変わらぬ笑顔を向けてくれる。

けど……………

幸せだったら、幸せな程…………不幸が気になる唯。

今、気になってるのはもちろん………愛里ちゃんのこと。

愛里ちゃんは…………

どんな気持ちを、抱えているんだろう。

子供の初恋だと、みんな言ってるけど………。

唯には分かるんだ。

愛里ちゃんは………真剣だったって。

だからこそ、傷ついた愛里ちゃんが心配。

去年と違って、毎日様子を見ることができないから………

余計に心配。

…………同じ人を好きになったから分かる。

愛里ちゃんは、まだ子供だから

先生に恋愛対象に見られなかったけど…………

同じ年頃だったら…………。

今、悲しい思いをしているのは唯だったかもしれない。

………………………………………。

無口になる唯を見て

フッと笑う先生。

「先ずは食べよう。
話は後で、ゆっくり聞いてあげるから。
そう思って、美味しいお酒のおつまみばかりの今日も…………
アルコールを我慢したんだから。」

やっぱり優しい先生は………

いつだって唯の味方。

………………………だったら唯は、愛里ちゃんの味方になってあげたい。
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