キンダーガーテン五      ~ここが居場所~
「宮崎さん…………お願いします。
…………実は、一昨年のその日尋ちゃんは父の浮気現場を見たんです。
正確には、浮気ではなくて
亡くなった部下の代わりに産婦人科に着いていったんですけど。
それから色々ありまして
両親は離婚しました。
父は、その女の人と籍を入れ
母もまた違う人と一緒になります。
私と尋ちゃんが結婚式を急ぐのも………
そういった事情もあります。
……………けど。
私も尋ちゃんも、本当に大好きな人と一緒になれて幸せなんです。
だから、父にも母にも負い目をもたず
親として、精一杯子育てしてお嫁に行くのだと思って欲しいんです。
娘達を傷つけたと十字架を背負ったまま
新しい人生は進めないから………。
それから…………
和也さんは、尋ちゃんの高校の教師で……担任でした。」

「まぁ。」と言って微笑む宮崎さん。

良かった………良い人で。

「二人は、禁断の恋だったからと………
結婚式も消極的で。
でも、二人はいっぱい悩んで苦しんで。
今を迎えたんです。
だからもう、幸せだけを感じて欲しくて………。
先日高校の同級生達と会って、二人の事を伝えました。
当日、少しでも沢山の人が結婚式に参加してくれたらって思ってます。
尋ちゃんは『誰も来なかったらどうしよう~』って言ってます。
なので…………
心からお祝いしたいと言って下さる宮崎さんに出て頂くのは。
たとえ参加者が少なくても…………
尋ちゃんは幸せに思うはずなんです。
同級生達は、今回直ぐに認めてくれなくても
長い月日をかければ………理解してもらえるはずだから。
勝手なお願いですが…………
参加してもらえませんか?」
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