キンダーガーテン五      ~ここが居場所~
「用意出来た?」

昨日の夜は、遅くまでゴソゴソしていた先生。

唯が着替えてる間にも

何やら車のトランクに詰め込み中。

「カメラ………ヨシッ!
荷物も…………ヨシッ!」と

幼稚園の遠足のような指差し確認まで。

これって………

先生のお家???

何処に行くのか分からないまま、ドライブに出発したの。





「ねぇ、先生。
何処にお出かけするの?」

洋服も、これで良かったのか心配になって質問する。

だって、先生のお家に行くと思って

ラフな格好にしたんだもん。

普通は、先生のお父さんやお母さんに会う時っておしゃれするものだけど。

先生の実家にお邪魔するのにおしゃれは必要ないの。

だって、全て揃ってるから。

美香さんとお母さんが、浴衣もワンピースも

ジーンズや水着まで…………

「唯ちゃんに似合いそうなのがあったから!」って

写メを送ってくれるの。

初めは申し訳なく思って遠慮してたんだけど。

『着てくれた方が喜ぶから、着てやって。』って先生に言われてからは

ありがたく着せてもらってるの。

美香さんとお母さんのセンスは、とっても良くって。

今まで着たことのないブランドで

ちょっとお姉さんに見えるから嬉しい。

「う~ん、兄貴の友達の家。」

えっ!

お兄さんの友達のお家??

「えっ!
えっ…………あれっ…………えっと…………。
お兄さんの友達??
…………………どうして???」

ハテナだらけの頭で

何を聞いたら良いのか分からない。

パニックの唯の頭を撫でて

「気分転換しようかなって。
多分…………絶対、喜ぶよ。」ってニッコリ。

『初めまして』の人に会うのに………

喜ぶなんて思えない。

「服はこれで大丈夫?」

「お土産買わない?」

「男の人??」と質問づめの唯。

先生は、それに全て『大丈夫』って。
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