キンダーガーテン五      ~ここが居場所~
「もしもし…………唯です。」

「ハイハイ。
なぁに?唯ちゃん。」

いつもと変わらず、明るい声の園長先生。

でも、今日は叔父さんとして電話をかけた。

だから………『唯です。』

園長先生もちゃんと分かってくれてるから………

『唯ちゃん』って呼んでくれた。

「さっき、悠君と電話をしました。
明日……帰るよって言ってくれました。
あの…………ごめんなさい。
今回の事で………
本当に大切な人だって………改めて気づきました。
悠君の隣が私の居場所。
ここが二人の居場所ですよね。
叔父さんが、二人を離して………
初めは『どうして?』って………思いました。
少し恨めしくも思っちゃいました。」

正直に話すと、電話越しに『ハハハ。』と笑われた。

「でも………今はありがたいって感謝してます。
『家族』になるんですよね。
結婚する前に
思い出せて良かったって…………思ってます。
私も悠君も
嫌な思いをしたくないって
逃げたんだって………。
悠君は、ヤキモチを妬いた事を知られたくなくて………。
私は、悠君に嫌われて嫌な顔をされる事が怖くて…………。
明日帰って来たら、二人でキチンと話します。
叔父さんの愛情に………
やっと気づけたから………お礼が言いたくて………。」

今気づいたばかりだから

ちゃんと伝えれたのか自信はない。

それでも……

自分の言葉でお礼を言いたかったの。

多分お兄ちゃんも同じ気持ちで見守ってくれてたんだと思う。

もしかしたら、お義父さんも分かってお仕事をさせたのかも………。

まだまだ未熟な私達だから

いっぱい間違えるし、反省する事だっていっぱいある。

でも………

私と悠君には、沢山の人達が見守ってくれる。

だから……………大丈夫。
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