キンダーガーテン五 ～ここが居場所～

「ほらっ、愛里ちゃん。
そろそろ航先生が、心配するから帰ろう。」

クラスに帰るように促す先生と

帰りたくなくて、ぐずる愛里ちゃん。

ホント………男と女の関係みたい。

「聞き分けがない女の子は、ゆうと先生……嫌だなぁ。
また遊びに来て良いから………帰ろう。」

先生の言葉に、淋しそうにしぶしぶ帰っていく。

可哀想だなぁって思うけど………

先生いわく

そろそろクラスのルールを覚えてもらわないといけないから

仕方ないんだ……と。

活動中に抜け出すことはなくなったけど………

トイレや時間が空くと顔を出すみたい。

一度は治まっていたんだけど………

私達の婚約が決まってから、また顔を出すようになったの。

愛里ちゃん…………

本気だったからね。

初めは『モテるでしょ？』と笑っていた先生も

愛里ちゃんの本気に、罪なことをしてしまったと反省しているの。

まさか、３歳の子があんなに真剣だとは思わなかったみたい。

…………唯はずっと言ってたんだけどなぁ。

唯を子供だとバカにしていたからだよ！

…………って言っても、愛里ちゃんは傷ついてる訳で…………。

何とかしてあげたいけど

唯じゃあ火に油を注ぐことになってしまう。

四人は『失恋には、新しい恋が一番！時が解決するよ。』って

言ってるの。

愛里ちゃんの帰ったドアを見つめる先生も、切なそう。