キンダーガーテン五      ~ここが居場所~
新学期が始まって初めの1ヶ月は

新しく始まった満3歳クラスの準備に、のんびりしながら

それなりに忙しく過ごしていたの。

新入園児の年少さんのクラスをお手伝いしたり

クラスの飾り付けや名簿作りをして。

五月に同じ名前のゆいちゃんが入園してからは

一対一の担任と教え子に…………。

クラスっていうよりゆいちゃんのお母さんになったみたいで

ホントに………のんびりゆっくり、楽しい時間。

二人でご飯を食べて、お散歩しておもちゃで遊んで。

お昼の後は、抱っこしてお昼寝。

他の先生達がバタバタしている中、申し訳なく思ってしまう。

お散歩に、商店街を歩いていたら

洋介さんに『悠人の子供?』ってからかわれるの。

それくらい、すっかりなついてくれた頃

六月に桃花ちゃんが入園してきた。

二人になると、両手に花…………ならぬ宝物。

可愛いさも2倍になったんだ。

「唯しぇんしぇい、抱っこ~」とゆいちゃんがおねだりすれば

「ももちゃんも~」と。

二人抱っこは、さすがに大変で…………

そんな時、颯爽と現れてくれるのが先生。

「だったらももちゃんは、悠人先生がしてあげる。」と抱き上げると。

唯とは違って、高い位置の抱っこに

「ええっ!
ゆいちゃんも、ゆうとしぇんしぇいがいい~」と。

結局、先生が二人抱っこをすることになるの。

素直な二人は、可愛い半面

唯の先生なのになぁ~なんて思っていると。

「唯ちゃんは、帰ったらいっぱいしてあげるよ!」と

コッソリ耳打ちしたあと

耳に掠めるようなキスをして離れる。

……………もう!先生!!

いくら婚約したからって………

園でキスは、マズイよ!!

でも、居場所と安らぎをもらった唯は

ホントに幸せで…………

コッソリその姿を見て

悲しい思いを抱えていた愛里ちゃんに気づけなかった。
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