【全巻完結】愛は惜しみなく与う①

「あ、あの、その女ってのが誰かは分かりませんが、少し会話をしていまして…」

「言え」



それは謎の男が誰かと電話をしているのが聞こえたときの内容だった



「悪い女だな、実の姉を騙すなんて…」


そう言っていましたと





訳がわからない。男が誰と電話していたかも分からないし、聞こえてきた電話の内容だから、杏のことを言っているなんて確証はない


でも、すごく嫌な予感したんだ




「泉?どうしますか?」

「……とりあえず、倉庫へ戻る。少し忙しくなりそうだ」



この胸騒ぎの正体が何かはこの時は分からなかったが、俺は色々と後悔をする事になる。




杏を監視する人物は誰なのか。そして、黒蛇の総長も気になるところだ。
まずは総長に会いに行くか。

俺がしてあげれることをしなければ


「新は、西のことも探れるのか?」

「…難しいですが、ツテを使ってやってみます」



もう一度写真を見る。
少しあどけない表情で誰かと笑っている、髪の長い杏。そしてこれは杏が住んでるマンションの前を歩いているところ
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