【全巻完結】愛は惜しみなく与う①

ざわざわとする北蓮見は、6人の登場でシーーンと静まる

風の吹く音だけがする


毎年突っ立ってるだけの烈火の自由演技。今年は最初から何か違うようで、観客全員ら固唾を呑んで見守る


真っ赤な袴に身をつつみ、足元は、その名の通り風に服が揺られて、炎のように揺らめく




ドン!

という太鼓の音で泉と杏
朔と響
新と慧が向かい合う



杏が片手を上げて、それは始まった




5分間のショータイム




彼らにとってはいつも通りの喧嘩の手合わせ


しかし観客にとっては、それは全く別のもの



1つのショーだった



あちらこちらで歓声が上がる



袴の袖にヒラヒラとしたものが付いていて、皆んなが動くたびに太陽に反射してキラキラと光る


不規則に全員動いているはずなのに
何かに合わせて動いているような…


そんな感じ


観客のボルテージもあがる



誰が見てもかっこいいと思えるパフォーマンスだったから

敵対しているチームの男たちや、他校の男たちも、目を奪われ呆然とする
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