【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
誰もいない教室に2人
俺を眺めていた杏はすぐに寝てしまったが
そのあと変化に気づく
ツーーと杏の目から涙がつたう
「え?」
可愛い顔をしてスースー眠っていた杏は、突然泣き出した
少しうなされているよう…
立ち上がり杏のそばに行き名前を呼ぶが目を覚まさない
そして小さく呟いた
「た す け て…」
その言葉を聞いた瞬間、身体が勝手に動いていた。
「杏?大丈夫か?杏!」
少し強めに肩をつかみ揺する
このまま寝かせてたら、ダメだ
そう思った
杏が…助けてって言った
普段じゃ絶対言わないのに
「杏!!」
大きな声をだすと、杏は、んーといい目を覚ます
あれ?泉?そう言い、少しボーッとしているようだ
でもその頬には涙の跡が…
咄嗟に手を伸ばしその涙を拭う
杏は、欠伸をしたからと言ったが…違うのに
でも杏の、これ以上聞かないでほしいと言う圧に、それ以上突っ込んで話せなかった
あぁ…俺も弱いな